突然音信不通になる大学生が
結構いると、合気道の先輩Oさん
(23歳・三段・女子・大学を卒業して1年ちかく)に聞いた。
ゼミの先生が卒論の進行状況ついてたずねようと
携帯に電話してコール音を鳴らすも、当人は出ない
というような事態が重なり、
そのうちキャンパスで姿を見なくなるそうだ。
「その電話の用件は“なかったこと”に
したいんでしょうね。呼び出し音が
鳴っているのに取らないってことは」
なかったことにした現実がずんずん積み重なって、
家のアパートから外界へとつながる扉をふさいで
しまったのかい?
昔友達だったヤンキー上がりのかわいい山ちゃんが、
パチンコ屋のバイトを辞めるとき「ヤだからさ、
友達に私のふりして電話でことわってもらうんだ」と
言っていたのを思い出す。これは「なかったことにした」
わけじゃないか、自分で味わうべきヤなことから逃げた話。
やっぱり、卒論を書けてない自分がいるんだから、
なかったことになんかできないよ。
私はどうだ? これまでの人生で何かをなかった
ことにしてこなかったか。 考えた。