合気道の身体づかいに、「相手の力に対して力で対抗しない」という教えがあります。例えば、両腕を上からつかまれたときに、力でふりほどこうとすれば、さらに相手は力を強めてきます。これでは身体が大きく力の強い者にはかなわない。ところが、つかまれた腕の力を抜くと(脱力するのではなく「預ける」と教わったのですが、まだそこの加減がわかりません)、相手とぶつからずに自由に動かせます。この身体づかいのメカニズムは「ほーっ」と声がもれるほどの驚き(このような発見がいっぱいあって、稽古中に「あ、そうか」「あーっ!(わかった)」みたいな声が上がるのが合気道のいいところ)。
「相手に力で対抗しない」やり方は、普段のコミュニケーションにおいても当てはまると思います。怒りやとがめに対して、怒りで返すと事態は悪いほうへどんどん陥るけれど、力を抜いて(力を預けて?)ユーモアや「そうだった?」「ごめんね」で返せば、怒りの連鎖は断ち切られる。学ぶところ多し、合気道。